真夏に力強く鳴き続け、短い一生を終えるセミ。日本では夏の風物詩であり、「蝉時雨」という言葉のようにその声の賑やかさが印象に残る虫です。また幼虫の数年間を地中で過ごし、地上に出てからわずか２週間程度でその命を終えてしまうことから、儚い生き物のイメージもあります。

一方フランスでは、セミは「幸運のシンボル」として広く人々に親しまれています。そのイメージも、太陽の申し子・幸運の運び手・忍耐強さ（長年地中で過ごすからでしょう）などポジティブなものが多く、薄幸な生き物という印象は少ないようです。

フランスではセミの生息地に北限があり、パリなど北部では見ることはできず、南部にしか生息していません。
特にバカンスの地としても名高いブロヴァンス地方では、セミは地域のシンボルともなっています。現地のお土産物屋さんでは、セミをモチーフとした食器や雑貨がたくさん売られています。
フランスの人にとってセミは、太陽の光が燦々と降り注ぐ南仏プロヴァンスの夏を想起させるものなのでしょう。セミの「太陽」や「幸運」などのポジティブなイメージは、そういうところから来ているのかもしれません。

リア・スタンのセミは、極めてシンプルで洗練されたデザインとなっています。アールデコの意匠を取り入れ、直線的・幾何学的なフォルムを使用し、色数も抑えてシンプルに仕上げています。
すっきりとしたデザインは女性だけでなく男性からの人気も高く、ネクタイの代わりにワイシャツの襟元に添えられる方もいらっしゃいます。

このブローチをリアはCigale Paca（シガル・パカ）と名付けています。Cigaleはフランス語でセミという意味、PacaはProvence-Alpes-Côte d'Azurの略称、つまりプロヴァンス地方（プロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏）のことです。まさに幸運を呼ぶ「プロヴァンスのセミ」なのですね。

リア・スタンや作品についてもっと詳しく知りたい方は、小冊子もどうぞご覧下さい。

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